事業について

“幸せを運ぶ”ために。現場と本社が紡ぐ、組織づくりのこれから

“幸せを運ぶ”ために。現場と本社が紡ぐ、組織づくりのこれから
イオングループの新たなネット専用スーパーとして、2023年7月にサービスを開始したGreen Beans。サービスの配達業務を担っているイオンネクストデリバリーは、首都圏を中心に急速に組織を拡大して現代の新たな配達システムの創造へ挑戦しています。

挑戦を続ける理由は一体どこにあるのか。デジタル技術の活用・サービスの品質・組織についてという3つの観点から、経営企画部長のFさんにお話を伺います。今回は組織について語っていただきました。

組織が成長したからこそ、伝え方や教育のクオリティが重要になっている

イオンネクストデリバリーの社員数はGreen Beansのサービス開始時から何倍にも増えていますよね。配達のサービス品質や業務効率を考えたときに、組織として改善できることはありますか?

今までは拠点も少なく従業員の数が直接目の届く規模でしたが、事業成長にあわせて組織が拡大し、現在は600名規模の会社になりました。なので、会社として考えていることや進めたいことを、拠点のマネージャーを通じて現場にしっかりと伝えていく体制を整える必要が出てきていると感じます。

具体的には、サービス品質について別の記事*でお話した際に出てきたトレーナーやリーダーという職位の社員、つまりドライバーへ教育するメンバーを増やす予定があります。また、マネージャーも含めた教育する側のレベルを上げることにより、ドライバー全体のスキルを底上げしていくことに優先して取り組みたいと考えています。

こうしてポジションが上がっていくことはドライバーのみなさんがキャリアアップに挑戦する機会を提供することにも繋がると考えています。一人ひとりが成長のチャンスを掴んで、ひとつでも上のポジションに上がっていただきたいと思っています。

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社員のキャリアパスの形成にも積極的なのですね。拠点で働くドライバーの声はどのように組織運営に活かされているのでしょうか?

二つの経路で拠点の声を取り入れていると思います。

まずひとつは、それぞれの拠点が行っている業務フローやサービス改善などの成功事例を全拠点で共有し、その内容を他の拠点に水平展開して現場主体での改善を行うやり方です。このやり方の効果はかなり大きくて、マネージャー陣が拠点ごとにアレンジして取り入れようとしてくれる姿勢が素晴らしいなと感じます。

もうひとつは、本社のスタッフが拠点にヒアリングを行い、現場の生の声を本社で働くメンバーが聞き取り理解して、改善策を考えるやり方です。

業務の課題は本社と拠点で協力して解決する。現場のフィードバックを重視した
意思決定

拠点へのヒアリングは、課題が生まれた際のコミュニケーションでしょうか?定期的に実施されているのでしょうか?

定期的なヒアリングに加え、改善が必要な課題が発生したらその都度コミュニケーションを取っています。

例えば、昨年は酷暑により炎天下での作業が大変でした。当社も給水サーバーの設置や熱中症対策飴の配布など暑さ対策を講じていましたが、これからも毎年猛暑であることを想定し、安全配慮の観点でさらなる対策が必要だと感じ、拠点のみなさんと連携して対応を検討しました。

まず、本社のスタッフが他社の配達業のドライバーにどう対応しているのかリサーチして対策を検討しました。すると、他社のドライバーや外の現場の仕事の方は冷却ファン付きのベストを着用しているケースが多いことに気づいたんです。なので当社でも冷却ファン付きベストの導入を決定しました。

ただ、導入して実際に着用するのは拠点のドライバーのみなさんなので、どういった形状のものが良いのかヒアリングを入念に行いました。例えば、「ドライバーは車に座ってる時間が長いため、冷却ファンが背中にあると正常に作動しない、運転の邪魔になるなど、体の側面にあった方が良い」など、利用者側の意見を教えてもらいながらベストの選定を行いました。

あとは配達で利用する台車についても、今使っているものがベストだとは考えていないので、いろいろなタイプのものを現場に試用してもらって、「このタイプは前のものよりタイヤの音が大きいです」とか、「これは前のタイプより音が小さいんですけど、ものすごく重たいので実用は難しいです」というような、現場の使い勝手やフィードバックを必ず確認するようにしています。

このように、イオンネクストデリバリーでは課題解決に対して本社と拠点で働く社員が相互に連携しているため、本社の意見だけで決めるよりも現場にあわせた対策がとれているのではないかと感じますね。

ドライバーの負荷軽減にも真剣に向き合っているんですね

他にも検討中の一例ですが、エレベーターが無く階段でお届けするケースではアシストスーツを活用できないか、夏場に注文が集中するケース飲料をより多くのお客さまに配達するにはどう対応すべきかなどがあります。私たちは、より良い配達を実現するために幅広い視点での検討を常に行っています。

先ほどキャリアパスのお話がありましたが、制度面でドライバーが働きやすくなるような改革は進めているのでしょうか?

早朝や深夜など、配達の需要が多い時間帯であるもののドライバーが少ない時間帯については、お客さまの需要と私たちの配送のキャパシティをマッチさせるためにインセンティブとして手当を支給しています。

また、ドライバーにも評価制度を導入しています。評価の項目に、安全運転や接客品質に加えて配達件数を入れているので、安全で丁寧な配達を前提に、配達件数が増えることによって評価給がプラスされます。ドライバーのみなさんには「ご自身の頑張り次第で待遇を改善することができるシステムを導入しました」という伝え方をしています。

こういった改善でドライバーのみなさんのモチベーションが上がるのを期待しています。

幸せを運びつづけるための事業戦略。同じ志を持った仲間を増やしたい

新設拠点が増えていますが、配達エリアを拡大する際に基準として考えていることはあるのでしょうか?

現時点ではCFC(Customer Fulfillment Center)が千葉県の誉田にしかないのですが、2026年以降首都圏に複数のCFCを操業開始する予定です。CFCをハブにして、首都圏の外側から中心部にかけて効率のよい配達が可能なエリアを増やしていく構想を持っています。

《青がCFC/赤がスポーク》

一方で、各拠点で働き手が集まらなければお客さまの商品を配送できないので、ある程度のアクセスの良さ、鉄道の駅から遠すぎず徒歩で通勤可能な場所であったり、早朝深夜勤務の方の駐車スペースの有無などの通いやすさも新設拠点のエリアを選ぶときのひとつの基準にしています。

今後どのような仲間を増やして、Green Beansのサービスを成長させたいですか?

日々の創意工夫で新しいことにチャレンジをすることを続けてほしいと考えています。新しいことにチャレンジすることによって、今日よりも明日がより良くなり、私たちの働き方やお客さまに対するサービス品質など全てがプラスに変わっていくと思っているので、そういう気持ちを持ち続けられる方と一緒に働きたいと思っていますね。

一方、足元でしっかり事業を継続させていかないといけないので、今あることをしっかりと繋げて、一緒に業務改善に取り組んで、持続的なサービスを一緒に創造する仲間を増やしたいと考えています。

先ほどお話したように、今後も新たなCFCが増えてGreen Beansは首都圏の中でサービスを拡大していくフェーズです。仲間がますます増えていくなかで、同じ志を持った方と一緒に頑張ってサービスを成長させたいですね。

最後に、このメディアの読者へのメッセージとして今後の事業構想を教えていただきたいです。

私たちイオンネクストデリバリーは、ホームページにも記載のある「幸せを運びつづける」という経営理念を実現していきたいと強く感じています。

理念を実現するには「幸せを運びつづける」とは何なのかということを、より徹底して考えないといけないと思っています。私たちが日々行っている配達の中で、お客さまの求めていることを見逃さず、そのお客さまにできることは何か?を考え、行動することで、「幸せを運びつづける」につながりますし、結果的に配達クオリティの進化につながっていくと考えています。

私たちは、デジタル技術を活用し、組織の強化を通して、お客さま目線の買い物体験の向上やサービス品質の強化をしっかり進めていきます。

ネット専用スーパーにとって、私たちが行っている配達はお客さまとの重要なタッチポイントです。お客さまとの接点や生の声を活かして、顧客が真に求めていることを汲み取り、Green Beansとして新しい提供価値を生み出すことに真価を発揮したいと考えています。

同じ志を持った仲間が増え、サービスがより発展することを期待しています。本日はありがとうございました!